上野紀子へのインタビュー

>>絵本を描く前は、どんなお仕事をなさっていたんですか?

絵本は、なかえが自費で作る作品に絵をかかせてもらったのが最初です。「ペラペラの世界」という童話風のシュールな絵本です。もう、38年も前の話です。それから、ただ、自分たちの作りたい作品を毎年自主的に作っていました。自費の本だけで10冊ちかくになります。そんなことをしながら、広告や雑誌のイラストの仕事をしていました。

>>子どもの頃から、絵本の好きな女の子だったのですか?

田舎でしたので絵本や本はあまり手に入らない時代でした。絵を描いたり、れんげ畑でままごとをしたり、お店やさんごっこやゴム飛び遊びなどをして遊んでいました。遊ぶのが忙しく、本などを見る暇などはなかったように思います。

>>「ぞうのぼたん」は、ニューヨークで先に出版されていますが、
そのいきさつをお聞かせください。

とても長くなってしまいますので。ここでは書ききれそうもありません。興味のある方はHPを見ていただけますと、ありがたいのですが。 簡単に言いますと、ニューヨークにある子どもの絵本を出している出版社に売り込んでまわったという話です。当時は若かったのでそんなことができたのだと思います。なんども断られて7番目の出版社で やっと気にいっていただけました。

アメリカに行く前に日本のある有名な出版社にも見てもらったのですが、散々でした。「こんな絵本なんかやってるようでは、絵本はぜったい作れない」と言われました。
アメリカの編集者の作品を見る目と日本の編集者の作品を見る目、態度にはとても違いがあると思います。今も思っています。

>>「ELPHANT BUTTONS」では、 一番最後に登場した、ねずみくんが、「ねずみくんの チョッキ」では、主人公になりましたが、「ELPHANT BUTTONS」でねずみくんを描いたときに、このねずみくんの運命を予感していましたか?

「ELEPHANT BUTTONS」のねずみはねずみくんではありませんね。ねずみのぬいぐるみです。 はじめての絵本で、予感もなく計算もなく夢中でした。若い時はそんなものではないでしょうか?

大変失礼いたしました。


>>ご夫婦で絵本を作られていらっしゃいますが、
 絵本の構成はお二人でお考えになるのですか?

構成とはお話のことだと思うのですが? お話はすべてなかえが考え、ラフスケッチを描いてくれます。私はそれを修正しながら絵を仕上げていきます。

>>「絵」と一言で言っても、「ことりとねこのものがたり」のように、ねずみくんとは違ったタッチの絵も描かれていますが、絵のタッチを決めるのは、上野さん、それともなかえさんですか?

二人で決めます。
ただ絵のタッチといっても、その前にお話のタッチが違うのです。絵のほうが目立つのでなかなか、話のタッチの違いに気づかれる人は少ないようです。絵は見てすぐわかりますが、お話は読まないとわからないからでしょう。話の内容が違うのに同じ絵でのほうが、変なのではないかと思ってしまうのですが?

>>ねずみくんなど、その絵本の登場人物(動物)を描くときに、
心がけていることはありますか?

表情です。表情を描くことで文章の量を減らすことができます。 絵本に登場するキヤラクターの表情を、子どもたちは細かく見ていて、それで感情移入ができるのだと思います。

>>上野さんにとって絵本って、どんなものですか?

絵本は絵と文(お話)が助け合って、ひとつのお話の世界を作っているものだと思います。どちらかが欠けていても成り立たないのではと思っています。絵描きの私には画集のようなものです。絵がお話に合っているかと、常に気になり気にしています。

>>読者の皆様に一言メッセージをお願いします。

ねずみくんシリーズは、起承転結がはっきりしている絵本だと思います。結末のオチがどうなるのか推理しながら読んでいただき、読者のかたの予想通りか、それとも予想を裏切る展開になっているかを楽しんでいただけたらと思います。読者のかたの予想通りの結末ですと、作者の負けということですね。

よく、子どもにどんな絵本を与えたら良いのか?という質問をされるお母さんがおられます。自分で本を選べない人が増えているのだなあと思います。本は自分で選び探し求めるものだとわたしは思います。そして、良い本に出会ったら、人に話たくなります。子どもに 読ませたくなると思うのです。そういう、お母さんからは上のような質問は出ないのではないでしょうか?

本は、楽しく、明るければいいものではなく。楽しみながら、考える、テーマのあるものが良いと思います。私は、そのような絵本を目指して作っていきたいと思っています。



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